ふじ棚キャットウォーク

仕事をリタイアした長男は毎朝三味線を弾く。それが終わるとカメラを持って庭を散策するのが日課だ。仲間たちとコーラスに励む長女は、練習の合間にも甲高い声で歌いながら庭の手入れを楽しんでいる。
敷地は都心の旗竿地。接道長さがギリギリで土地の分割が難しい。一つの敷地に二つの建物が建ち、それを三兄妹が庭を介して絶妙な距離感で共有していた。
東の家に住む兄夫婦は猫が嫌いだ。庭の池で育てている金魚を野良猫が取って食べてしまうから。それで西の家の二階部分を所有する次女夫婦は、二匹の飼い猫を外に出すことができない。
この計画では西側二階部分のベランダを拡張して、猫たちが少しでも外気を感じながら過ごせる場所を設計した。デッキから庭へ、猫たちが下に降りられない高さでキャットウォークが延びていて、それがふじ棚にもなっている。その下で兄妹三家族もちょっと休んでおしゃべりできる様に。
べんべん るるるる にゃあにゃあ ぺちゃくちゃ。